清須会議
武骨な男、柴田勝家の物語。
信長亡き後、後継ぎを巡って秀吉と勝家が争う。
票を集めるために秀吉が領地を約束する一方、勝家は味方についてくれれば自慢の新米を送り届けると約束する。
秀吉が宴会を催して饗応するのに、勝家は昔の思い出話で結束を図ろうとする。
この勝家の愛すべき政治の下手さがこの映画のおかしみと悲しみの大部分である。
勝家だって政治をしない訳ではない。
人の心の機微も分かっているし、それでこそ織田家宿老まで登り詰めたのだろう。
僕個人的にはついていきたい人物だし、そう思う部下も多くいるはずだ。
しかし勝家は心の機微は大事にしたが、欲望と雰囲気、つまり「パンとサーカス」をカウントしなかった。
感情の政治は出来ても勘定の政治(うまい事言うなあ)は出来なかったのである。
もし有能なプロデューサーが配下にいれば、大手広告代理店がついていれば、勝家の圧勝であった。
信長の後継が秀吉が推す三法師に決まり、
その三法師を抱いた秀吉に対して勝家が頭を下げる場面は非常に心が苦しい。
この場面で感情移入できないサラリーマンはいない。
歴史物は大概そうなんだろうけど、
この映画前後の人間の関係性を知っていれば更に物悲しい。
本作で描かれた時代ののち、秀吉、勝家、お市はどえらい事になっていく(ネタバレなので言わない。是非「マンガ日本の歴史」を手に取って頂きたい)。
俳優陣は豪華なだけでなく、皆はまっている。
大泉洋の秀吉、役所広司の勝家、中谷美紀のねね、寺島進の黒田官兵衛、妻夫木聡のバカ殿(信長の二男)などなどなど。
三谷幸喜作品とは「古畑任三郎」からの付き合いでちょくちょく見ている。
西村雅彦の今泉君はおかしくて悲しかった。
今後も人間のおかしみと悲しみをお願いします。