徘徊タクシー
最近本作品で何とかファンタジー賞を受賞されたらしい(調べない)。
心の底からおめでとうございます。
坂口恭平。
このどこにもでもありそうな名前を初めて知ったのは会社の車のラジオ。
「坂本美雨のディアフレンズ」という番組だったかな(ユーチューブがある筈です)。
3年くらい前と思う。
営業中のラジオなんて流して聞くだけだし、独立国家の総理大臣なんて紹介受けてるし適当に聞いていた。聞いているうちに、こんな凄い人がいるのか、と驚愕した。
なにが凄いって、こんなに正直な人がいるのか、という事だ。
もっと具体的に言えばこんな事ラジオで言ってもいいんだ、という事。
別に過激な話をする訳ではない。至極真っ当な疑問やあまり人が口にしない感覚の話をするのだ。
真っ当な疑問も感覚の話も、自分が単純に素朴に感じたこと程、中々口に出せない。「こいつおかしい」と思われるんじゃないかと思う。
でも同じように疑問に思っている人はいるし、そしてそれを言ってもいいし、言う事が大事だと教えてくれた事は嬉しかった。
坂口恭平は病気で死にたくなる事があるようだが、希望の一人であるので是非長生きしてほしい。
この作品で坂口恭平を知ればなんだこりゃ、と思うかもしれない。
感覚的なところが強く出ている小説だと思う。小説なんで感覚的で構わないという事もあるのだと思う。
なんだこりゃの方は、「独立国家のつくりかた」「現実脱出論」を読んでみてください。こちらは小説じゃないけれど、伝わりにくいとても個人的な感覚の話を丁寧に相手に伝えようと書かれていて感動します。坂口恭平が人をどれだけ大事にしようとしているか分かると思います。行き過ぎた贈与の人です。希望の星です。