本当はふつうに映画の話をしたかった
今週のお題「ふつうに良かった映画」
ブログぐらい書きたいこと書きたいのに、ここでも与えられた無茶なお題に悩んでしまうとはこれ如何に。
まあ頭を捻る練習ということにしよう、そうしよう。
悩ましい題だ。ふつうなのか?良かったのか?
「ふつうに良かった」というのは日本語として矛盾しておりよって解なし、と言うことも可能である。でもそれではこのお題を出した人物の思うつぼ、反骨心から「ふつうに良かった映画」をしっかり選びたい。僕は降参しない。
「ふつうに良かった」とは普段から使う言葉である。おそらく日本語として流通し、認められている。
では「ふつうに良かった」とはどういう意味なのか? まず最初に映画の評価に関する言葉であると考えられる。
映画の評価としての言葉は大別して「良い」「ふつう」「悪い」の3種類であろう。
「ふつうに良い」というのは2つの評価を同時にしており矛盾している。それは「良いけど悪い」や「悪いけど良い」と同じ意味合いである。「普通と良いの中間」というのはかろうじて理解できるが、その場合はそう言う。
とするとこの場合の「ふつうに良い」というのは評価に関する言葉ではないのか?しかし「良い」は評価の言葉以外には考えられず、つまり「普通」という言葉が映画の評価を表していないということが考えられる。
ではこの場合の「普通」とは何を表しているのか?行き詰った。
ここは辞書を引いてみよう。三省堂国語辞典より。
①<どこにでも/いつでも>あって、めずらしくないこと。
特殊の反語語。珍しくない良さ、これはきっと良くないしおもしろくない。これではない。
②取り分けた一部を除く、大部分のもの。一般。
特別の反対語。一般に良い。これは何となく意味が通る。普通民にはおもしろい、一般受けするといったところか。
しかしこの用法で使ってしまうと「何様?」となってしまうし、こんな意識で言っている訳ではない。少なくとも僕は違う。
③特にかわったところがないこと。いつもどおり。
特にかわったところがない良さ。それは特に良くない。
④<よくも悪くもない/極端でない>こと。中ぐらい。
これは最初に検討した評価に関する使い方。最初によくも悪くもないと言ってしまっている。「良い」と矛盾する。
⑤a.べつに変なところがなく。とても。b.当然(であるかのように)。
これだ!⑤のaだ!つまり「とても良い」だ!「ふつうに」は映画の評価ではなく、「良かった」を強める役割を果たしているだけなのだ。
しかもわざわざ[⑤は、二十一世紀になって広まった言い方]とまで注がある。
遊びで調べたら思いのほかすっきりして感動してしまった。
辞典は最新のものを買うべきだと今思った。
これでやっとお題に答えられる。つまり「とても良かった映画」ということ。
うーむ、しかしこれはこれで難しい。 降参します。